NPO毎週末山形は、福島原発事故による放射線被曝を回避する為に福島から山形への疎開をした、またはそれを模索している全ての妊婦と乳幼児の親の支援団体です。
山形県の置賜地区・村山地区は福島県北部から近く、しかも奥羽山脈に隔てられていることにより、同地域に比べて放射線の影響はかなり低い値にとどまっています。
子供と自分の健康について安全な状態を確保しながらも必要に応じて福島に戻れるという極めて柔軟な避難の形態を選択できる数少ない場所であることを考えると、現在山形県の存在は福島に対して非常に重要な意味を持っていると言えます。
6月16日より、遂に山形県も福島県民からの強い避難要望に応えて自主避難者を含めた福島県全域からの避難者への借り上げ住宅の無償提供の制度を開始しました。これは本当に画期的な出来事であり、福島の住民にとって最大の助けと成り得ます。
しかし、こういった情報が当事者に届かなかったり、この情報を得て後もなお疎開の決断が阻害され続けるような要素が福島県内にはたくさん存在します。
山形県から見た場合の、避難を検討する人の前に立ちはだかる最大の壁は、福島県の行政が県外避難を勧めていないことです。福島に常駐している「放射線健康リスク管理アドバイザー」は、「全く大丈夫であり避難する必要はない。」というメッセージを妊婦や乳幼児についても例外なく与え続けており、人口流出を抑えたいだけの行政によって福島に軟禁されているような印象を強く受けます。意識のある親達が放射線からの防護についての自主勉強会を開き、給食の安全性、夏はプール掃除や暑さ対策、これまでの内部被曝量の計算と、考え付く限りのテーマについて取り組んでいますが、これは相当な疲弊を生みます。
最も痛手なのは、情報が錯綜する中で、家族や地域に衝突や不和が生じ、本来ならこういった有事には一番頼りにしてきた人的なネットワークが所々分断されていることです。
私達は、福島県内にあるボランティア団体とも連携を取りながら、当事者一人一人の事情に寄り添った避難支援をしていこうと思っています。
中でも、疎開するか否かの決断の狭間で苦しんでいる方達に対して、山形への週末のみの避難・保養を紹介することによって、当事者の心が少しずつでも楽になり、今後のことを柔軟に考えていく力を取り戻せるようにサポートしていきたいと思っています。
そのために、子ども福島や、絆プロジェクトと連携をとりながら、確実に支援を進めていきたいと思っています。